
「サマージャンボ宝くじ、いかがですかー!?」
と、叫ぶバイトをしている。
これが結構楽しい。
宝くじ売り場は、駅前にあることが多いので、
時間帯によって、人の流れが変わってくる。
もちろん、その駅によっても、
住宅街だったり、繁華街だったり、
オフィス街だったり。
歩いてる人が全然違う。
叫ぶセリフには、一応、暗記させられた文章がある。
のだが、
ただそれを繰り返していても面白くない。
どうやったら、お客さんが宝くじを買いたくなるかなあ、
と、ない知恵を絞って、叫びまくるのだ。
「買わなきゃ当たりません!」
は、わたしのオリジナルセリフ。
これがズバリはまるおじさまは、
「その通りだよ、お姉ちゃん」
と、親し気に近寄ってきた後、
「だけど、買っても当たらないんだよなー」
と、ぶつぶつ言いながら、結局買って行く。
こういうやりとりがあるから、
人に話し掛ける仕事は楽しくてやめられない。
「普段は買わないんだけど、声につられて買っちゃったわ」
と、杖をついたおばあさんに微笑まれたり。
なぜかわたしに目を奪われた、2歳くらいのよちよち歩き君が、
目を奪われたまんま後ろ向きに歩き続け、
転んでもわたしをみつめ続け、
苦笑したお母さんが、
「何かある」と買いにきたり。
一度は通り過ぎたのに、
走って戻ってきて、
「あんたの声は、天の声だ!」と、
大量に買って行くおじさんがいたり。
ホームレスらしき、怪しき酔っ払いのおじさんも、
「俺が3億当たったら、あんたに半分やる!」
って。
ニヤリと笑われたら、こっちも思わずニヤリ。
あのおじさんが当たりますように。
今日は、スターバックスのお姉さんが、
わざわざ「暑いでしょう」と、
試飲のアイスコーヒーを持ってきてくれたな。
とにかく、人との触れ合いがたまらないのだ。
ただ叫ぶだけじゃ、
この炎天下の中、6時間以上も立ちっぱなしで、
あんな辛い仕事もないと思うけど。
初めて会う人の懐に飛び込んでいく仕事ってのは、
返ってきたとき、
数倍のエネルギーをもらえるから、
ついつい頑張っちゃうんだなあ。
誰が見張ってる訳でなし、
さぼろうと思えば、
日陰に入ってセリフを棒読みすることもできるはずだけど。
「暑くて倒れそうだけど、楽しい仕事」と
「楽にすませて、こなすだけの時間」、
これで給料同じなら、
楽しい方が、いいお金だよねーーー。
サマージャンボは、30日までの発売でーす。

