
「西表にいる」て言うと、
たいていの内地の人に
「ヤマネコ見たことある?」て聞かれる。
あるよ、見たこと。
この3年間で、7~8回。
大抵は夜、西部と東部を行き来してるときに見る。
ひとりでバイクに乗ってるときに、
道路のまん中で何やら食べてるヤマネコと遭遇して、
10分くらい、じーっと見てたこともある。
いつものパターンだと、
「あ!ヤマネコ!」て思った瞬間には、
もう暗闇に消えてしまって、
貴重な経験って感じがありありとするんだけど。
そのときは、いつまで見ててもヤマネコ逃げないし。
誰も通りかかってくれないから、
誰とも貴重な時間を共有できないし。
携帯電話は圏外だし。
せっかくの経験なのに、
「昨日、ヤマネコ見たんだ-」とか言っても、
今ひとつリアリティに欠けちゃって残念だったなあ。
だって、実際には見てなくて、
「ヤマネコ見ちゃった」て、嘘ついてる人と、
何ら変わりがないんだもん。
(そんな人たぶんいないけど)
ヤマネコの死体を届けたこともあるよ。
その年は
「めずらしく今年は一匹もヤマネコが死んでません」
ていうムード満載の年の瀬で。
なのに拾っちゃったよ、ヤマネコ。
それも12月30日に。
「その年の1匹目」
めったに会わないけど、
やっぱり身近にいるよな、「天然記念物」
だからいつの間にか、そういう動物がわかるようになってる。
ただの「ネコ」と「ヤマネコ」がどんな風に違うか知ってるし。
電柱に「カンムリワシ」が止まってればわかるし。
「セマルハコガメ」はよくその辺を歩いてるし。
どんなに珍しい天然記念物だって、
知らなきゃただの「ネコ」「鳥」「亀」だもんな。
東京にいる頃は、「スズメ」「ハト」「カラス」だけで。
他はみんな「鳥!」って感じだったのにな。
それだけ身近なんだろうな。
「そろそろデパートで、母の日グッズが並ぶね」
て感覚で、
「そろそろ『アカショウビン』が鳴き始めるね」
て言ってる。

