あの世の正月。  2004年2月6日(金) 旧十六日祭

今日は、旧暦の1月16日。
「十六日祭」と言って、
亡くなった人のための、
あの世の正月「十六日祭」だ。

こちらでは、かなり盛大な行事で、
各家々の親族が集まり、
お墓の前で、お線香をたいて、
ピクニックのように敷物をしき、
ご馳走を食べる。

おにぎり、まんじゅう、
お茶にお酒に、
天ぷら、煮物。

みんなでわいわい。
まさに、
「お墓の前で、ピクニック」だ。

でも、この行事。
家族での行事なので、
東京から来たわたしには、
これまであまり関係がなく。

十六日祭の前に、スーパーで、
お菓子やオードブルの安売りをしていたり。
十六日祭が過ぎてから、
近所のおばあが、ご馳走の残りを分けてくれたり。

そういう関わり方しかして来なかった。

けれど、今年は。
働かせてもらってる食堂のお家のお墓に、
一緒について行けた。

そしたら、普段は冗談ばっかりのじいちゃんから、
約50年前、この島に入植した当時の話を聞けた。

ただのジャングルだった西表島。
隣りの島からやってきて、
全てを開拓して、今を作り上げてきた、
じいちゃん達。

20才代で開拓を始め、
今はみんな70才代。

わたしが約5ヶ月、島を離れている間に、
西表島の東部だけで、
7名の人が亡くなっていた。

「この島の歴史そのもの」と呼べる人達と暮らす日常。
そして、その「歴史そのもの」の人達が、
徐々に年をとっていく現実。

残され、受け止め、続いていく日常。

この「十六日祭」で、
亡くなった人達が、幸せなお正月を、
あの世で迎えていますように。

この世で、ご馳走食べて、ピクニック。
あっちもこっちもみんなハッピー。