エゴとエコ。  2003年3月5日(水)

月が浜。
西表には、その名の通り、三日月のように砂浜の広がるステキなビーチがある。

砂はさらさら、とっても細かくて気持ちいい。
夜は集落の明かりも届かず、満天の星空が広がる。
美しいのに人も少なく、いつ行ってもその景色をほぼ一人占めできる。

そんな月が浜に、今度大きなホテルができるらしい。
従業員の寮だけで、辺りの集落の人口を軽く上回ってしまうような、大きなホテル。

単純に「イヤだな」と思う。

難しいことはわからない。
「イヤだな」と思う。

だけど、だからって簡単に反対もできない。
この島の人が、何を望んでいるのか。

未だにラジオはNHKしか聞けないこの島で。
テレビで宣伝しているマクドナルドを買う事もできないこの島で。
隣の島まで行っても、まだパソコンも売っていない、この島で。

都会育ちのわたしが「自然を残そう」なんて言えない。
この島の人たちにも、発展の夢を見る権利はある。

もっと大きな視点で、地球規模で考えて。
やっぱり、この島の素晴らしさは残すべきなんだと思う。
人間のエゴで、地球を傷つけちゃいけない。

でも、おじいやおばあが「地球のこと」なんて考えてないことも知ってる。
考えろって方が不自然だ。

島の男の人の多くは、土木の仕事で食っている。
仕事がなくちゃ食っていけない。
「月が浜のホテル」は多くの人のメシの種だ。

目先のことに囚われて、大きなものを無くしちゃいけない。
この1年の仕事のために西表の自然を壊したら、取り返しのつかないことになる。

でも、いつもお世話になってるみんなのメシの種。
この島の自然を残すことで、この島の人が不幸せになるなんて、何かがおかしい。

西表島は、未だにゴミの分別もできていない。
紙も缶もプラスチックも自転車も、みんなまとめて火をつける。
この美しい西表には、ダイオキシンが降りまくり。

だけどホテルができたなら、今まで改善されなかったゴミ問題に、ようやく動きが出るかも知れない。
だって何百人分ものゴミが出るのに、このままって訳にもいかんでしょ。

ホテルのこと。
単純にイヤだけど、
簡単に反対はできません。