
「やすみ屋食堂」は食堂なので、自分たちの昼は遅い。
いつも、14時のワイドショーを見ながらごはんを食べる。
そんな中、おばあが決まって反応する話題がある。
その人が出てくると、恥ずかしそうに下を向いて「ぷっ」と笑うのだ。
その人の名は「ビクトリア」
今をときめくベッカム夫人のビクトリアだ。
以下、おばあ言葉による解説。
「昔よ、50年前には『夜ばい』が流行ってたさ。
男はみんな女の家を夜中に訪ねて襲うけどが。
電灯もないから真っ暗でよ。
女は誰が来たかもわからないし、逆らうこともできんさねー。
そしたら、ある男が訪ねた家の女が、生理の日だったと。
昔の「生理バンド」は外国製で「ビクトリア」て会社のものが使われてたからよ。
次の日から、その女は「ビクトリア」て呼ばれてよ。
かわいそうで、ならんさー」
うーん。
すごい話だ。
何がすごいって、全部すごい。
まず「夜ばい」
本当にあったんだねー。
「扉のレールのところに水を垂らすと音がしないさー」
なんて聞くと、ますますリアル。
ていうか、犯罪では?
「生理バンド」
って、ナプキンのことだよな。
ストレートな表現に、ちょっとドキドキ。
そして「ビクトリア」
そうかー、生理バンドの名前かー。
次からわたしもワイドショーで吹き出しちゃうかも。
おばあの話す「夜ばいトーク」
結構すごい。
どこの家でも「夜ばい」について話をふると、出てくる出てくる武勇伝。
そりゃあみんな、兄弟も多いし親も違う訳だ。
うーん、納得。

