島の力。ゆいまーる。  2003年4月3日(木)

「うわぁ、これが『ゆいまーる』だなあ」て、感動した。
新築木造家の棟上げ。

西表では白アリがすごいから、木造の家はほとんど建たない。
台風もすごいから、木造の家はほとんど建たない。
みんな鉄筋。

もちろん昔は木造ばかりで、風通しを良くする知恵も素晴らしかったんだろうけど。
それでもだんだん老朽化するし、何しろ白アリ。

やつらはすごい。
木、紙、布。何でも喰う。

よく聞く怖い話。
部屋の片隅に置いておいた「着ない服の入った段ボール箱」
掃除をしようと、ひょいと持ち上げたら。
さらさらさらーっと、段ボール箱の表面を残して、
全部その場に崩れ落ちる。

「家の柱」
粉っぽいものが散っているから、
「もしや?」と思って、トントンと叩く。
すると、柱がぼろぼろぼろっと、崩れる。

そんなこんなで、新しい家はみんな鉄筋。
「木で家を建てたい」なんて言うと、
「バカか、こいつは?やっぱり内地の人間だな。白アリを知らんな」
て目で見られるし、見られるだけじゃなくて、いろいろ言われる。

そんな中、とうとう建った木造家。
加工技術の進歩でしょうね。
使う木材は「白アリつかない保証付」だそうで。

棟上げの前は、大工さん一人を家主が手伝い、
たった二人でもくもくと作業を続けてた。

それが。
棟上げ当日。
来るわ、来るわ、部落を担う男たち。
それぞれが忙しい仕事の合間を縫って、あるいは大事な仕事を休んでまでも。

この小さな島の小さな部落で。
まさに島を担う、部落を担う男たちが、
10人以上、20人くらい集まった。

そして次々と、切り込みの入った木材を、力を合わせ組み立てていく。
圧巻。

土台だけで何もなかった土地に、
島の男たちの力で、
次々と柱が立っていく。

これが、この島の力だ。
これが「ゆいまーる」だと思った。
(「ゆいまーる」とは「みんなで助け合う」こっち独特の仕組み、精神)

この部落に建つ「新しい家」を、ゆいまーるで棟上げし、
この部落に誕生した「新しい夫婦」を、ゆいまーるで迎える。

素晴らしすぎる。

この島の持つ「でっかい包容力」は、人の力だ。
あったかい。