月のミチカケ、潮のミチヒキ。  2003年4月17日(木)

東京にいた頃は「潮の満ち引き」なんて知らなかった。
「月の満ち欠け」だって、ろくに知らなかった。

もちろん言葉は知っていたけれど。
「一日のうちに、満ちるときと引くときがあるんでしょー」
てなくらいで、
年に何度か遊びにいく海が、実際満ちているか引いているかなんて、
知ったこっちゃなかった。

月だってそう。
たまーに見上げた空に、たまたま浮かんでる月が、円いか欠けてるか。
別にどっちでもよかった。

それが今じゃあ。
「大潮、中潮、小潮」に始まって。
「満潮時間」「干潮時間」
「潮位何センチ」
「月齢いくつ」
「旧暦何日」

そんなことを、普通に毎日気にしてる。

「次の大潮は、結構引くよー」
「何センチ(潮位)かー?」
「マイナス潮だ、いざり(潮の引いた珊瑚礁を歩いてサザエなどを採る)行くかー?」

「だいぶ月が明るくなってきたな。そろそろ大潮か?」
「今が12日(旧暦)だから、あさってから大潮じゃないかー」
「今度はエビ採りに行くかー?」

こんな会話を普通にしてる。

満月だろうと、三日月だろうと、
月が真上にあると、今が干潮。
そんなこと知らなかった。

約2週間ごとに繰り返されるサイクル。
満月、新月、満月、新月。
大潮、中潮、小潮、中潮、大潮、中潮、小潮、中潮、大潮。

すごい力がそこにある。

生かされてるなあ。
そう思う瞬間。

月の満ち欠けと同じサイクルで潮が動く。
あんなに大きな海が、あんなに遠くの月と影響しあってる。

この光を浴びて、このちっぽけな体に、何も起きない訳がない。

光を吸い込んで、自分の体の水分を感じる。