
半期に一度の清掃検査。
清掃検査がやってくる。
この島には昔、マラリアという病気があった。
その頃からの慣習らしい。
部落はみんなで清潔に。
小学校のトイレにあった「手を清潔に」と違って、
「マラリア」という背景があると、
ぐんと、せっぱつまった感じが胸に伝わる。
今でこそマラリアなんてないけれど、
自分たちの部落の「きれい」を、
衛生面からも、見た目からも、
連体責任で守ってる感じ。
大変だけど、悪いことじゃないよな。
まず部落放送がかかる。
「5月○日から○日は清掃週間です」
これがかかると、みんな「お、もうそんな時期かー」
と、あせり出す。
なぜあせるかと言うと。
清掃週間の最後に「清掃検査」というものがあるのだ。
一件ずつ各家を、部落長始め何人かの係が回る。
不衛生な家がないかチェックするのだ。
無事に合格すると、家の入り口に合格のシールが貼られる。
ダメだと言われると、
何と「罰金」(もちろんやり直しも)
ね、あせるでしょ。
みんな一生懸命に時間をみつけては、
草を刈り、草を刈る。
(とにかく草刈りが清掃の全てなのです、すぐ草ぼうぼう)
それに加えて「部落作業」というのもある。
自分の家だけでなく、みんなの場所はみんなできれいに。
朝6時から放送がかかる。
「ただいまから、朝作業を始めます。
1班2班は神社周辺、3班4班はどこどこ…」
と、説明があり、
みんな軍手姿に鎌やほうきを持って集まる。
ビーバー(草刈り機)を持っている人はビーバー持参。
ここでもとにかく草刈り、草刈り。
7時頃に「朝作業、おつかれさまでした」
と、放送が再びかかるまで、とにかく草を刈りまくる。
こうして島の「きれい」はみんなに守られる。
だけどこの時期、これだけ暑いと、
草が伸びるのはホントに早くて。
あんまり早く刈り過ぎると、
肝心の検査のときにはもう伸びてたりする。
何だかみんな「草刈り」で頭がいっぱいの季節。

