
ようやく、ようやく。
ようやく終わった。
今年のキビ刈り。
例年ならば、4月の中旬には終わるのに。
今年は何と、まさかまさかの5月下旬。
5月29日、製糖工場へのキビ搬入終了。
みなさんお疲れさまでした。
そしてキビが終わると、ぞくぞくみんな去っていく。
わたしの働く食堂から、今日だけで3名、島を出た。
(食堂と言ってもキビ農家を兼業、だから人夫もいるのです)
人夫が2名、おばあが1名。
一気に静かだ。
さみしいなあ。
この島に来て3年。
いったい何人の人を見送ったろう。
いつもそうだけど。
船が出るまでは実感が湧かず、
見送りに行っても、気の利いたことのひとつも言えない。
船が出るまであと3分、となっても。
何を今さら話したらいいのか。
その3分をやけに気まずく持て余したり、
無意味に写真をパシャパシャ撮ったり。
そして時間。
船が港をゆっくり離れ、
手の届かないところに行ってしまってから、
ようやく無性に切なくなるのだ。
あーあ、行っちゃった。
見送る人が一人でも、大勢でもおんなじ。
残された感が、ぼわーっと広がる。
明るい見送りでも、涙涙の見送りでも。
最後はおんなじ。
「あーあ、行っちゃった」
て、ぼーっとして、船の見えなくなった海をみつめ、
「よし!今日も働くかー!」
て、振り向き歩き出す。
あと何回、この儀式を繰り返すのだろう。
半年後には、またキビ刈りが始まり、新しい人がやってくる。

