
さくらんぼ。
ああ、何と久々に耳にする、優しくかわいく麗しい響きでしょう。
西表島在住、3年と5ヶ月。
とうとう、さくらんぼと再び出会う日がやってきたのです。
パインもおいしい。
マンゴーもおいしい。
バナナ、パパイヤ、パッションフルーツ。
どれも確かに、とってもおいしい。
でもね、わたしはこんな果物は食べて育たなかった。
春のいちごに始まって。
桃、さくらんぼ。
すいかに、ぶどうに、梨、柿、りんご。
どれも、やさしい、淡ーい味の果物たち。
「わーい、初物だー」って喜びながら、
四季を感じて育ったのです。
なのに
「パパイヤ?年中とれるさー」
って、こんなところに住んじゃって。
ときどき「内地っぽい果物」、恋しくなります。
そして出会った、さくらんぼ。
今年のきびかりを終え、山形に帰っていった人夫の方が、
わたしの働く食堂宛に、送ってきてくれた。
こんなこともあるんだなあ。
幸せ。
西表まで、ときどき船で入荷されることもあります。
例えば、桃、柿。
だけどね、それらはみんな、何度も船でごつごつやられ、
店先に並ぶ頃には、ぐじゅぐじゅなのです。
痛みまくり。
しかも高い。
それと、こっちは暑いんですね。
宅配便も完全じゃないし。
(クロネコのみ。ペリカンなどは石垣まで)
完全じゃないってことは、留守してた場合、
放置されて腐っちゃうってことでもあるんだな。
なかなか、なつかしい果物たちにはありつけたもんじゃありません。
あー、おいしかった。
ごちそうさま。
それにしても、もらった「さくらんぼ」をビニール袋に入れて、
誰かにおすそわけしようとすると、
決まって
「どこで採ったの?」
って聞かれた。
この島の人には、「買う」て感覚はないんだろうか。
「採る」って…。

