ものすごい朝。  2003年6月15日(日)

すごいものを見てしまった。

あれは今朝のこと。
いつもは快眠のわたしが、めずらしく眠れず。
寝ては覚め、寝ては覚め、の繰り返し。
そうこうしているうちに、朝の5時になってしまった。

「ん?もしや、日の出が拝めるのでは?」
と、思ったものの、眠れないだけで、眠いことは眠いし。
早起きなんてしたことないから、
起きちゃいけない気さえするし。

布団の中で悩むこと30分。
意を決して、がっと我が家を飛び出した。

向かうは、港。

年に一度の初日の出さえ、滅多に起きられないこのわたしが。
どうしたことだろう。
何でもないこの日に、朝も5時半から、
港を颯爽と歩いてる。

西表の朝は遅い。
日本のほぼ西端に位置するだけあって、
12月など、7時半に起きても、朝焼けが拝めたりする。
だから朝の弱いわたしでも、朝焼けの美しさは何とか知ってる。

だからこそ。
あんなに美しい朝焼けを、毎日のほほんと逃してしまっているのが、
たまに無性にもったいなくなる。

でも起きられないから、仕方ないのだ。

と、思っていたけれど。

今朝は違った。
起きられたのだ。
(眠れなかったとも言う)

だから港へ、いそいそ歩いた。

そしたらば。
そしたらば、何と、西の空。
東じゃないよ、西の空。

大きくて、円くて、黄色いものが。
あまりの黄色さに、一瞬何かわからなかった。

満月。

いつも見る月より、数倍大きくて、数段黄色い満月が、
西の森に、沈もうとしてた。

うわっ。
思わず足を止め、見とれた。
月だよ、月。
しかも満月、まっ黄色。

わたしは日の出を見に来ていたのに。
何だよ、この月。
あまりの存在感に、立ち尽くした。

そしてそのとき。
東の空が赤くなった。

日が出づる。

首を天から180度まわしても。
体をくるっと、まわれ右をしてみても。

東に朝焼け。
西に満月。

恐ろしいほど、美しい出会い。

ぐいぐい昇る、真っ赤な太陽。
空の色が、みるみる変わる。
赤から橙、闇から空色。

気が付いたら、
西の空に、満月はもういなかった。

ものすごい朝にバンザイ。