2003年10月19日 リマより。
昨日の夜、リマに着いた。
昨日の夜って言っても、
日本時間から14時間遅れ。
そのころ日本は19日の昼12時だったんだな。
ちなみに今は、ペルーは19日の夕方18時。
日本は20日の朝8時。
みなさん、おはようございます。
こっちはね、当たり前だけど、スペイン語しか通じない。
10までの数字くらいは数えられるようにしてきたつもりだったんだけど。
まだまだですな。
さっき、散歩がてら、博物館に行ってみた。
入り口で、「クアトロ」て言われて。
「4」なのはわかるんだけど、
いったい「4」がどうしたのかわからない。
値段は10ソレスだし、時間は18時までのはずだし。
「4が何なの」て聞きたいのに、
それすら満足に聞き返せない。
(まあ、わかんないってことは思いっきり伝わってるんだけどね)
で、結局「4」はやっぱり時間で。
「今日は日曜なので、4時半で閉まっちゃうよ」
てなことを教えてくれてたんですな。
腕時計を示すジェスチャーで、ようやく理解。
わたしはいいけど、
相手は大変だよなー。
がんばれ、わたしと出会うペルー人。
10月19日 ボリビアのこと。
まさに昨日、ボリビアの大統領が変わったそうです。
わたしの中の予定では、
ペルーから、チチカカ湖を渡って、
ボリビアに入るつもりだったけど。
デモやらテロやら道路封鎖で大変らしい。
昨日から観光客はぞくぞく引き返してるとか。
ペルーのニュース、言葉はわからないけど、
今とりあえず日本人宿に泊まってるので、
情報を教えてもらえた。
行く前でよかった。
セーフ。
教えてくれた人いわく、
「南米の事情は10日もあれば、ころっと変わるので、
まあ、平気になるかも知れないけどね」
だそうだ。
でも、今回はやめとこうかな。
ということを、報告。
(みなさんに心配かけないように)
10月22日、リマの動物園。
動物園に行ってきた。
タクシーに乗って行ったんだけど。
タクシーに乗るのも、だいぶ慣れてきたな。
こっち〔ペルー〕のタクシーは、乗る前に値段交渉してから乗る。
こっちが「ここまで」て言うと、
向こうが「じゃあ、5ソレス」とか言ってきて。
「えー、3ソレスにしてよ」て言うと、
「それは無理だな、じゃあ4ソレス」
「オッケー、それで」
てなことになる。
メーターはない。
そして上記の会話は、もちろんスペイン語なんだけど、
ろくに話せてないので、
そんな雰囲気だってことです。
で、動物園の入園料は8.5ソレス。
日本円にしたら、300円弱かな。
トラやらライオンやらも、もちろんいるんだけど。
中南米の動物が、やたら充実。
当たり前だけど、すごいよな。
ひとつ檻を移動する度に
「何だこりゃ」て言ってたよ。
だけど、まだペルーに来て3日くらいでしょ。
しかも大都会リマにしかいないから。
動物園、すごくよかったんだけど、
「コンドル」「リャマ」「アルパカ」に、
野生より先に動物園で会ってしまったのは、
「あー、やっちゃったー」て感じだったなあ。
まあ、リマにいながら、
いわゆる基本の「旧市街」を観光せずに、
地元の子供たちの遠足に混じって歩いてるんだから、
仕方ないよね。
これを選んで旅しているのです。
それにしても、複雑な気分だったのは。
何を隠そう、
「イノシシ」の檻の前。
だってさー、それまでどの動物を見ても
「うわあ、すごい」て素直に感動していたわたしが。
イノシシを見た瞬間、
「うわあ、おいしそう」
て、これまた素直に思ってしまったんだよね。
何てことでしょう。
さすが西表島在住3年半。
西表島ではイノシシは食べるものだからねえ。
仕方ないけど、
動物園で「おいしそう」って、そりゃないよねー。
さて。
今夜のバスで、リマを離れ、
アレキパという白い町に行きます。
いよいよ旅も本番。
楽しみだなあ。
10月23日、アレキパという町。
ふう。
昨日は何と17時間睡眠。
やっぱり気が張ってたのかなあ、
よく寝たもんだ、アレキパニ着いて宿に入るなり
昼の14時から朝の7時まで。
同じ部屋の3人(オーストラリア人、ベルギー人、オランダ人)もびっくり。
「疲れてるのね」と何度もあきれられた。
おかげで今日は歩き回っても元気元気。
全く日本語を話さない1日に、ようやく旅の始まりを感じてます。
朝ご飯を食べるのも一苦労。
けど安いよな。
お茶にパンに、イカ(?)のから揚げ、サラダにライス。
これが山盛りで、2、5ソレス。
日本円にして、ほんの80円ちょっと。
この町は、背後にでっかい山が見える。
それが何と6000メートル級。
雪がかかって美しい。
本当にため息が出るよ。
そしてその美しさとは違った美しさを持つ、この町の人々。
とにかく活気があって、にぎやかにぎやか。
今日は、町の中心「アルマス広場」で
タクシーのストライキがあって、大騒ぎ。
クラクション鳴りっぱなし。
テレビカメラも警察も来てたな。
だけど何だかのんびりしてる、不思議な空気を持つ町なんだな。
明日は「カニヨン デ コルカ」という谷へ、
1泊2日のツアーでいってきます。
グランドキャニオンよりも深い谷なんだって。
そこでコンドルを見るの。
楽しみ。
そのツアーを探してる途中、
ちょうどツアー会社の人たちが、
近所の学校に「遠足の説明会」に行くところだった。
「まみこもおいで」と言うので、付いていったら、
子ども達から、キスの歓迎を受けた。
幸せ。
こっちでは当たり前の挨拶なんだけどね。
楽しい出会いがいっぱいだなあ。
10月25日 高山病。
だんだん緊張感なくなってきたな。
水を買いに来たついでに、
パジャマ姿でネットカフェだよ。
まあそれはいいとして。
見てきたよ、コンドル。
行ってきたよ、コルカ デ キャニオン。
それがさー、高山病になってしまって。
頭痛いわ、吐き気はするわ、
昨日の夜は大変でした。
優しくしてくれたチリ人のおばさんを前に、
不覚にも涙をほろりと見せてしまったよ。
だって心細かったんだもん。
どうして病気ってのは、人の心を弱くするんでしょうね。
異国に一人の寂しさと、こうして優しい人がいる幸せと、
ダブルで感じた夜でした。
日本に帰ろうとまでは思わんかったけど、
こんなに高い所がつらいなら、
「もうマチュピチュもチチカカ湖も行くまい」
とまで思ったよ。
だいたいさ、高山病に気を付けよう、とか言って。
みんな、薬を飲んだり、コカ茶を飲んだり。
(わたしも飲んだよ)
何より「いきなりの運動は控えるように」と誰もが言うのに。
なぜ、わたしが具合悪くなったか。
それは、富士山の高さ(3600m)で温泉に入ったから。
低い所でも、のぼせるっちゅうに。
高い所で寒いから、余計に長く浸かってしまったよ。
あの心拍数の増加は、激しい運動以上でしょう。
どうしてみんな平気なんだろ?
まあ、おかげで18時から寝て、11時間睡眠。
今日は、はつらつ元気でした。
マチュピチュだって、チチカカ湖だって、行っちゃうよん。
10月26日。アレキパの白い日曜日。
ペルーに来て、約10日。
こんなに気持ちの良い1日は初めてです。
白いカテドラル。(街の中心にある大きな教会)
広場のパレード。
それを見ながら、ぽかぽか陽気のテラスで朝食。
光。風。
こんなに、こんな風に、
光や風を感じたことってなかったな。
白くて、眩しくて、心地よい。
鐘の音も優しい。
ああ、自分の心の持ちようで、
同じ街がこうも違って見えるんだな。
昨日までは、この街が「優しい」なんて、
思いもしなかった。
喧騒の中にあって、この白さも埃っぽく思えてた。
Iglesia(イグレシア、教会)のミサに参列した。
Mercado(メルカド、市場)で、搾りたてのジュースを飲み、
フルーツをかじった。
今日という一日があってよかった。
深呼吸できてる。
そう、この感じ。
この感じは体で覚えてるのに、
どうしていつも体が思い出してくれるまで、
きちんと息ができないんだろう。
でも思い出せた。
大丈夫、うまくいく。
アレキパの街に、ありがとう。
そして全てに。
Muchas gracias.
Buena suerte.
10月28日。チチカカ湖畔の町「プーノ」
さ、寒ーい!
高地の雨季って、こういうこと!?
どしゃぶり。
しかも、雹(ひょう)。
氷がいっぱい降ってるよー。
もちろん雨もいっぱい降って、道は水没。
そんな中を、白い息を吐きながら、
裸足にぞうりで歩いてるわたし。
道行く人々に、
「ヘイ、チニータ!フリーオ!」
と、声かけられまくりの、指さして笑われまくり。
「チニータ」(chinita)ってのは、
直訳すると、中国人の女の子ってことだけど。
みんなが使うのは、アジア系の女の子を見たら、
とりあえず「へい、彼女!」みたいな感じかな。
で、「フリオ」(frio)ってのが「寒い」ってこと。
まあ、雹(ひょう)が降ってる中、裸足で歩いてりゃ声かけるわね。
気分によって、
「ムーチョ フリーオ!」(すっごく寒ーい!)
て言ったり。
「ノー、フリーオ!」(寒くないやい!)
て答えたりしてます。
ホントはめっちゃ寒いけどね。
靴と違って、水没した道もずかずか歩けるし、
結構いいのよ、ぞうり。
(ただ、水たまりは、氷河も同然の冷たさだけどね)
プーノ。日本一のさらに上
何と今、わたしは。
日本の誰よりも高いところにいます。
ここは、チチカカ湖畔の町「プーノ」
標高、3855m。
日本一高い富士山の頂上で、
「やったー!俺が日本一だぜ!」
て、叫んでる人より高いんだぜ。
やったー。
こんな高いところに湖があって、
こんな高いところなのに、さらに山が周りを囲んでる。
日本にいるときは、3000m以上なんて、神様の領域だと思ってた。
実際、自分が3000mの山小屋に、一ヶ月住んだこともあるけれど。
畑もできない、魚も獲れない、水は雨水に頼るしかない。
美しすぎる景色とは裏腹に、暮らすには厳しすぎる環境。
だからこそ、そこは、人は見ることこそ許されるものの、
住むことは許されない「神様の領域」だと思っていたのに。
住んでるんだもんなあ、人。
市場に行けば、果物いっぱい。(マンゴーが安い!一個20円くらい)
チチカカ湖ではマスが獲れる。
できちゃうんだなあ、畑。
獲れちゃうんだなあ、魚。
プーノ、すごいよ。
まだまだ3000mじゃ、神様に引き渡しません。
神様どころか、活気にあふれた、人間くさーい、赤茶色の町。
チチカカ湖に浮かぶ島
行ってきたよ、ウロス島。
チチカカ湖に浮かぶ、葦(トトラ)でできた島。
着くなり、大はしゃぎで走りまわっちゃいました。
しかも、我を忘れて、日本語で叫びまくり。
「すごーい!」「おっもしろーい!」「キャーッ!!」てな感じで。
さらに、島の子ども達とバレーボールしたら、
人気者になりすぎて、大変。
1人 対 10人で、しかもボール10個。
部活のしごきだよ、あれじゃあ。
あげくの果てに、追っかけっこしてたら、
トトラ(葦)の古くなった部分に足がズボッ!
突っ込んでしまいましたよ、チチカカ湖に。
何とか膝まで濡れたところで脱出したけど、危なかったー。
みんな笑ってるだけで、助けてくれないんだもんな。
こっちは必死なのに。
まあ、聖なるチチカカ湖に清められたってことで。
天気もよくて、すぐ乾いたし、オッケーオッケー。
そういえば「オッケー」てのは、こっち(スペイン語圏)でも通じるのね。
いったい何語なんだろう。
やっぱりEnglish?
お肌カサカサ
静電気。
世の中には、そういえばこんなものもあったなあ、と。
パチパチくんの登場に、髪をとく度、ため息ついてます。
妖怪アンテナも立ちまくり。
ここ3年も4年も、沖縄西表という、乾燥知らずの土地に暮らしていたので。
本当にペルーという国の乾燥っぷりには驚かされる。
ちょっと歩けば、唇カサカサ。
1日の間に、こんなに何度もリップクリームを塗るのは、生まれて初めて。
ベビーオイルも、持ってきてよかったー。
西表では、化粧水すら付けたら乾かず困っていたのに。
湿気って、あり過ぎても困るけど、
少しはないと、これまた困るのね。
そして、車の排気ガスが激しいのが、
この、お肌の非常事態に拍車をかけてる。
1日歩いて、お肌を軽くこすってみれば。
ティッシュ真っ黒。
服はほこりで逆に真っ白。
だけど、この乾燥した空気。
意外と旅人には優しいのです。
だって、洗濯物がすぐ乾くでしょ。
手洗い手絞りで、翌朝起きればカラッカラなんて、
少ない服をやりくりする身としては、
何と有り難いことでしょう。
何でも感謝だねっ。
10月31日、イヌ事件。
アクシデント発生、アクシデント発生。
犬に噛まれちゃいましたー。
病院騒ぎで、いっぱい消毒。
ワクチン注射に、感染症予防の薬を4日間服用。
さらにワクチン注射は、来週もう一回すること。
いやはや、やっちまいましたね。
ただ町を歩いてただけなのになあ。
確かに、ペルーの町には犬が多い。
放し飼いなんだか、野良犬なんだか、よくわからないけれど。
とりあえず、1匹もつながれてはいない。
どの犬もやる気がなくて、でれーっとしている。
おとなしい。
死んでんのかなあって思うと、のそっと起き上がってみたりする。
それがそのときにはさ。
50m位向こうから走ってくる、やけに元気な犬が2匹。
「ああ、元気なやつらもいたんだなあ」
なんて、微笑ましく眺めていたのに。
いきなり片方が、けたたましく吠えたかと思うと、
2匹同時に、わたしに向かって飛び掛かってきた。
「いやーーーーーーーーっ!」
て叫んだときには既に、左足の付け根をガブリとやられてたね。
近くにいた人が、すぐ追い払ってくれたからよかったものの。
まあ、幸い、傷はたいしたことなく、
既に痛くもかゆくもないです。
来週もう一回注射して、終わりっ!
またちょっと傷跡が増えただけさっ。
安心安心。

